- 東野圭吾「11文字の殺人」 2002年05月31日
- 1987年発表の長編推理小説。今から見ればちょっとあか抜けないところもあるが、読者を惹きつける魅力十分なサスペンスミステリである。時代の持つ共通の雰囲気のためだろうか、岡嶋二人の作品にも似ている。しかしミスリードを誘うモノローグが挟み込まれていたりして、この辺は東野圭吾らしい。
推理小説家である「あたし」の恋人だったフリーライター川津雅之が殺される。死の直前、彼は「狙われている」と話していた。調べていくうちに一年前の海難事故に謎を解く鍵があるらしいと分かるが、関係者もつぎつぎと殺されていく。その上、真相を追う「あたし」も脅しを受けて。。 不満点もある。なぜ主人公は警察には届けないで自力で解決しようとするのかとか、繰り返し自宅に侵入されているのに対策らしき対策を取っていないこととか。しかしサスペンスの盛り立て方がうまく、本格推理らしい意外な犯人と真相は満足できるものだった。ちなみに光文社文庫の解説は宮部みゆき氏。7点。
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