- 黒川博行「キャッツアイころがった」 2000年05月02日
- 第4回サントリーミステリー大賞受賞作。被害者がみんな高価なキャッツアイを口に含んでるという奇妙な連続殺人の真相は?
警察と、なぜか最初の被害者の友人(?)がそれぞれ独自に真相を追求する形で物語は進む。素人が必然性も無いのに軽々しく殺人事件の解明に首を突っ込んでしまうあたりのリアリティーの無さがやや物語を絵空事にしてしまっている気がするが、そこに目をつむれば楽しめる話である。大盛り上がりこそ無いが展開は早くて飽きさせないし、インドまで行って歩き回ったりするのでTVドラマに向いているかもしれない。
黒川博行はもとは高校の美術教師をしていたそうだ。最近作で直木賞候補になった「文福茶釜」(未読)にも美術関連の興味深い話が取り上げられているようだが、本作でも美術の専門知識がちらりと顔をのぞかせている。宝石の知識も出てくるが、これも美術と関係するのだろうか。7点。
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