- 小峰元「ピタゴラス豆畑に死す」 2000年07月29日
- んー(>_<)すごく非常にとっても懐かしい作家である。このひとの本は中学生か高校生だった頃に気に入って、ひととおり図書館で借りて読んだ。そのころとくに推理小説ファンだったわけではないので、同じ人が書いた推理小説をある程度まとまって読んだというのは私の人生の中で小峰元か赤川次郎が最初だろう(そういえば赤川次郎を読まなくなって久しいな)。あの東野圭吾が推理小説に出会い作家を目指すことになった理由は何を隠そう(そりゃ私が隠してもしょうがない)小峰元なんだそうだ。岡嶋二人が作家を志したのもやはり小峰元がきっかけになっているらしい。いまとなっては珍しくないタイプの小説かもしれないが(というか古くさく感じる向きもあるだろう)彼の推理小説にはそれだけのインパクトと影響力があったわけだ。同じものを読んでも私は作家を目指すことはなかったが(^^;)、いまでもやはり好きな作家のひとりである。
そんなことを考えながらちょっと検索をかけたら、彼はもう亡くなっているらしい。そうかあ(;_;) たしかデビューしたのもだいぶお年を召してからだったものなあ。そもそも彼の本はすでにほとんど(みんな?)絶版になっているらしい。えーっっ、絶対いま読んでも面白いと思うぞ。そういえば図書館に揃っていたのもだいぶ数が減っていた。なんとか復活できないものですか>講談社文庫(彼の作品を一番多く出していた)。そのかわり古本屋ではまだまだ見かけるので今回お安くなっていたところを3冊まとめて買ったのだった。もちろん再読だが詳細は当然ほとんど覚えていない。
「ピタゴラス豆畑に死す」はデビュー作で乱歩賞受賞の「アルキメデスは手を汚さない」に続く彼の2作目の作品。正直言って推理小説としての出来は今ひとつか。しかし彼お得意の愉快で軽妙な展開はもちろん本作でも十分に堪能できる。小峰元を楽しむツボは"推理"の部分にあるのではない。青春ユーモアミステリの分野に限れば未だにこの人を越える作家はいないのではなかろうか。
書かれた年代(文庫の初版が1975年)がもろ反映された記述もあるのだが、古くさいと思うよりは逆に楽しめた。例えばこんな一文。 「(女の子のセリフで)『あの子、見た?』(中略)『感じから言えば、郷ヒロミ』とは可愛い子歌手である。歌唱力よりも中性的な美貌でローティーンの人気を集めている」 ...思えば郷ひろみも芸能界の荒波を乗り越えてよくぞいまの地位を築き上げたものである。そう言えばヒロミは知っているだろうけど最近の子供はツチノコなんてのは知っているのかしら。7点。
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