今野敏「隠蔽捜査」 2009年07月01日 | 隠蔽捜査
著:今野 敏 新潮社 単行本 2005/09/21
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本作は、2006年に第27回吉川英治文学新人賞を受賞した作品である。作者のデビューは1978年。すでに著作が100冊を超える相当のベテラン作家が新人賞って、と思うところだが、良いものは良いし、これまではあまり注目されてこなかった作家さんだったと言うことだろう。実際自分も最近になるまで知らず、てっきり最近デビューの人だと思っていた。しかし本作でブレイクを果たし、続くシリーズ第2弾『果断』で第21回山本周五郎賞と第61回日本推協賞長編部門を受賞するに至って完全に人気作家の仲間入り。書店では過去の作品もずらりと並べて売られている。先日読んだ佐々木譲氏と似ているな。警察小説だし。 さて、この作品の主人公・竜崎伸也は警察庁に勤める東大卒でキャリアのエリート官僚だ。東大以外の大学など大学とは思っていないし、国はエリートが動かしていると思っている。エリート意識が強くて、その点では典型的な高級官僚タイプで、あまり付き合いたいタイプではない。さらに、融通の効かない一本気な性格は、家族はもとより同じキャリアの官僚からも変人扱いされている。 世間一般の感覚とは大いに異なる感覚と価値観を持ち、人間的にはどうかと思う主人公は、最初のうちはまったく共感できるキャラクターではない。しかし揺るぎのない使命観や、一貫した道徳観を持っており、終盤にはそのプラス面がマイナス面の強さを逆転して、事件の影響で人間味のあるところも見えてきたりして、個性の強い面白キャラになってくる。 警察機構を揺さぶる現職警察官による連続殺人事件、予備校に通う息子が犯した罪。公私に渡って降りかかる難問に、この変人エリートはどう対処するのか。なかなか面白い作品だった。7.5点。
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