- 岡嶋二人「珊瑚色ラプソディ」 2003年05月27日
- 里見耕三は結婚式を挙げるため、オーストラリアから一年半ぶりで日本へ帰ってくる。しかし迎えに来るはずだった婚約者の白井彩子は、旅行先の沖縄で入院していた。しかも彼女は旅行中の記憶を失い、一緒にいたはずの女友達は連絡が取れなくなっていたのだった。美しい沖縄の島でいったい何が起こったのか。
1987年に発表された作品だ。作中にレコード店へ行く場面が出てくるが、そう言えばこの頃はまだCDはなくレコードだった。ちょうどCDが普及しはじめる直前くらいだろうか。耕三はレコード店でビデオを買うのだが、これってVHSだろうか、それともベータだろうかなんてよけいなことも考えてしまった。 閑話休題。話の進め方や登場人物の動きなどには若干だが、いかにも小説、というような感じを受けた。しかし、サスペンスとしてはうまくまとめられている。彩子の記憶喪失と、その前後の記憶と現実の食い違い。現実にあり得そうもないと思わせる矛盾をまず謎として提示し、最後にはすべてが合理的に説明される。過疎が進む沖縄の孤島という舞台装置をうまく使っている。TVドラマに向いていそう。7点。
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