水原秀策「サウスポー・キラー」 2005年09月16日- 第三回「このミス」大賞(2004年)受賞作。大賞受賞時のタイトルは「スロウ・カーブ」。この回は「果てしなき渇き」(深町秋生)とのダブル受賞となっていた。
乱歩賞受賞作と言われても素直に納得しそうな、ミステリ・サスペンスとしてたいへんオーソドックスな骨格を持つ秀作だ。選評にも、万人受けするエンターテインメントとあるが、まさにその通りの作品。ちなみに同時受賞の「果てしなき渇き」は読者を選ぶタイプのダークな小説らしい。未読ではあるが、たぶん私はそちらより本作の方が好みだな。型破りな斬新さは無くとも、レベルは高く安心して楽しめる。変に型破りな小説より、こういうカーブならぬ直球で勝負できる作家の方が将来的にも期待できる確率が高いと思うのは偏見だろうか。 主人公・沢村はちょっと孤高の匂いがするプロ野球のピッチャー。人気チームの一員ながら、チームにもあまり馴染まず、我が道を行くクールな性格だ。この主人公が八百長疑惑と密告という不可解な事件に巻き込まれる。これは彼を陥れる罠なのか?犯人の狙いはいったい何なのか?沢村は事件の真相を自ら探りはじめる。 とにかく文章力もあるし、主人公から脇役まで人物造形もしっかりしている。プロットの組み立ても上手で、ハードボイルド的な展開も魅力的だ。納得の受賞で、次作が待ち遠しい新人である。7.5点。
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