北村薫、他「9の扉」 2014年10月29日 北村薫のアイデアから生まれたリレー短編集。執筆者が次の執筆者を指名して"お題"を渡すというバトンリレーで、各話は基本的に独立したストーリーになっているが、作者によっては前の話をうまく取り入れて工夫している。本書は初め、2009年に単行本として出版されて、2013年に文庫化された。 北村薫「くしゅん」ふわふわとつかみ所の無い、夢のような話だと思ってたら、後半は本当に夢の話になった。5.5点。 法月綸太郎「まよい猫」お題は「猫」。迷子ペット探偵のもとに奇妙な依頼人が訪れるところから始まる。オチが効いていた。7.5点。 殊能将之「キラキラコウモリ」お題は「コウモリ」。著者紹介を見て思い出した。そうだった。作者は昨年(2013年)若くして他界されたのだった。合掌。 鳥飼否宇「ブラックジョーク」お題は「芸人」。スランプの芸人の話が、最後はホラーな一品に仕立て上げていた。7点。 麻耶雄嵩「バッド・テイスト」お題は「スコッチ」。前話を受けてのストーリー展開で、意外で突飛なサスペンス。7点。 竹本健治「依存のお茶会」お題は「蜻蛉」。場違いなお茶会に招待された女子大生の目から見た、ある事件の真相。6.5点。 貫井徳郎「帳尻」お題は「飛び石」。禍福はあざなえる縄のごとし。でも、欲を出しすぎるといけない、というお話?7.5点。 歌野晶午「母ちゃん、おれだよ、おれおれ」お題は「一千万円」。前話を全面的に受けてのストーリー。タイトル通りオレオレ詐欺なのだが、二転三転の持って行き方は、さすが歌野晶午。7.5点。 辻村深月「さくら日和」お題は「サクラ」。鯛焼き屋さんのサクラの理由は。小学生の女の子視点の物語。さりげなくリレーのループを閉じている。7点。 自分的ベストは歌野晶午。前話の続編設定で面白かった。各作者でバトンを逆順につないだ巻末のあとがきによると、さらにその後の展開も考えていたのだが、枚数が足りずに永遠の未発表にしたとか。貫井徳郎も言っているように、是非どこかで活字にしてもらいたい。
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