誉田哲也「アクセス」 2004年09月01日- 第4回ホラーサスペンス大賞(2003年)・特別賞受賞作。
友達をひとり紹介すれば自分のケータイ料金もすべて無料になるという無料プロバイダに契約した可奈子。しかし可奈子に紹介した尚子は自殺し、可奈子には得体の知れない電話が掛かるようになる。さらに可奈子が紹介した従姉妹の雪乃にも奇妙なことが…。次々と連鎖的に広がる恐怖と不幸の源は何なのか? ケータイやネットという今どきありふれた存在が恐怖の小道具に使われている。ありがちではあるが、身近な存在を使うことには意味もあるだろう。しかし、なぜケータイなのかという理由付けがちゃんとされていないと、やはり興ざめする。この作品では、邪悪な存在がネット内のいわば「マトリックス」の仮想空間みたいなところに巣くっているという設定がなされており、その辺は一応筋が通っている。だが餌食となる者を無料プロバイダに契約させたりケータイを使ったりする必然性は無く、作者に都合の良い小道具をあまり考えずに配置しただけという感が拭えなかった。 雪乃や翔矢といったキャラは、漫画チックでリアリティがないが、それはそれで貫けば面白くなると思う。しかしそこも中途半端に終わってしまった気がした。しかし代わりに、前半では格別の印象がなかった可奈子や尚子、そして可奈子の母・和泉らが後半で存在感を出していた。囚われた可奈子の脱出劇で幕を閉じるかと思ったら、終章でちょっと意外な展開とひとつの勝利が描かれており、これが小説的には、読後感を多少なりとも印象的にすることに成功していた。7点。
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