J.R.R.トールキン(瀬田貞二,田中明子・訳)「指輪物語 旅の仲間(第一部)、二つの塔(第二部)、王の帰還(第三部)」「追補編」 2008年01月03日-
さて、たしか10月はじめくらいから読み始めて、途中でほかの本も読みながら、全編を読み終わったのは年が明けて1月3日。3ヶ月ほどもかけて読んだことになる。なにせ超が付く大作である。「旅の仲間」「二つの塔」「王の帰還」の三部に分かれているが、基本的にひと続きの物語だ。評論社文庫で全九巻。さらに「追補編」が一冊。第一部だけで4冊あり、なんと上下巻がさらにそれぞれ2冊に分かれていて上1、上2となっている。まことに長大な物語なのである。もちろん中身もギッシリ。ということで、なかなか読み進まないのだ。それに、現代小説の基準から言えば決して読みやすいとは言えない。とくに序盤、第一部の前半(といっても文庫本二冊分あるわけだが)なんかは、険しく厳しい道のりを延々と進んでいくのだがストーリーの起伏には乏しく、なかなか先が見えない。実際、このあたりまでで、いや、早ければ上1の中盤で挫折する人も多いらしく、ネット上には「指輪物語」を最後まで読破するためのアドバイスページなるものもあった。 とは言え、物語世界の緻密さと堅牢さは賞賛に値する。何もここで自分が新たに賞賛しなくても、すでに世界中から最大級の賞賛を集めた史上最高のファンタジーと呼ばれる作品なわけであるが。2001年から2003年にかけて公開された映画『ロード・オブ・ザ・リング』三部作で近年ますますの注目を浴びた作品でもある。映画で知った、映画を先に見てから本を読んだ、という人も多いだろう。 ストーリー的には「ホビットの冒険」に続く物語であるが、様相はかなり異なる。「ホビット」が子供向けに書かれたのに比べて、本作品は大人をおもな読者として想定している。「ホビット」の主人公ビルボの養子となったフロドが主人公である。冥王サウロンの復活を阻止すべく、その力の源である"ひとつの指輪"(「ホビット」でビルボが偶然ゴクリから手に入れたあの指輪)を滅びの山に運び消滅させるという使命の旅が描かれる。 主人公はフロドだが、彼ばかりではなく旅の仲間たち一人ひとりが丁寧に描かれて行く。第一部の終わりで仲間たちはバラバラになり、同じ目的を持ちつつも別々の道を歩むことになるのだが、別れ別れになった彼らが交互に描かれ、フロドばかりに比重を置いているということはない。また、第三部のいよいよクライマックスという場面では、主人公フロドよりも、彼に付き従うサムこそが主人公と言って良い活躍を見せることになる。フロドや仲間たちの誰もが旅を通して大いなる成長を見せるが、サムほどではない! 『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』などのコンピュータロールプレイングゲームも含め、ファンタジーの世界の基礎を築いた金字塔作品だ。読むのはひと苦労だが読む価値はたしかにある。映画の方も評判は良いようである(原作に思い入れの強い人には不満もあろうけど…)。映画もかなりの大作だが、さて、この世界はどのように表現されているのだろうか。7.5点。
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