- 有川浩「キケン」 2012年03月08日
| キケン
著:有川 浩 新潮社 単行本 2010/01/21
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本書はハードカバーの単行本だが、ノリはかなりラノベ寄り。表紙や各章の扉ページはコマ割されたマンガ仕立てだ。ラストではそれが効果的に使われている。2011年度本屋大賞で第9位。第2回ブクログ大賞(2011)の小説部門大賞を受賞(ちなみに作者は第1回でも「植物図鑑」で受賞)。 学生生活は部活が中心だったという人はきっと少なくないに違いない。また部活と言ってもいろいろで、野球部で甲子園を目指して日夜練習に明け暮れていましたという人もいるだろうし、暇があれば部室に入り浸って日々過ごしていましたという人もいるだろう。後者なんか傍から見ると、特筆すべき何かがあるようには見えないが、案外と、仲間内だけのごく狭い範囲であっても非常に濃い"文化"がいつの間にかできていて、本人の学生生活に強いインパクトを残していたりするものだ。 「部活」に焦点を当てた小説やマンガ(読者層を反映して、小説よりはやはりマンガの方が多いだろうか)はいくつか思い出せる。自分とはまったく関係が無いのに、何か自分の経験と共通する雰囲気が感じられて、卒業してから読むと懐かしかったりする。本作品は成南電気工科大学機械制御研究部、略称「機研」の物語である。しかし、部の「本業」であろうロボコンでの活躍を熱く描いているというわけではない。あるにはあるが、ラス前の1章だけで、かわりに本書で一番大きく扱われているエピソードは学祭に出店したラーメンの模擬店だったりする。しかしそういうところがまた懐かしい(と、感じる人はきっと多いと思う)。7点。
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