読書日記

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西澤保彦「幻想即興曲 - 響季姉妹探偵 ショパン篇」 2012年06月08日

幻想即興曲 - 響季姉妹探偵 ショパン篇

 著:西澤 保彦
中央公論新社 単行本
2012/02/24

 新しいシリーズ、になるのだろうか。本書がショパン編ということは、毎回、有名作曲家がテーマになるのかな?本書はショパンの、とくに「幻想即興曲」が物語のキーとなっている。
 
 互いにカコちゃんイコちゃんと呼び合う姉妹が主人公だ。カコちゃんこと響季智香子(ひびきちかこ)は出版社勤務の編集者、イコちゃんこと響季永依子(ひびきえいこ)はロンドン在住のピアニストである。ラノベ風の表紙にはピアノの前で寄り添う二人の姿が描かれていた。
 
 さて、姉妹ふたりが主人公であるのだが、本書の三分の二には、ふたりは登場せず、過去の事件が語られる。編集者である智香子の手元にある、作家・古結麻里によるミステリ小説の原稿に書かれている事件だ。その小説は古結麻里の実体験をもとにしたもので、彼女が不審に感じていた事件の謎を解く物語になっていた。
 
 ということで、響季姉妹の役どころは安楽椅子探偵である(とくに妹の方)。小説原稿と麻里との会話から、作中で示された事件の真相のさらに裏側に隠れていた事実を推理し指摘してみせる。どんでん返しのある論理パズルは作者の十八番だ。ついでに言えば人物造形も作者の定番で展開されていて、響季姉妹や古結麻里までもキャラがみな似ており、いかにも西澤保彦の造るキャラだった。本作は全般にわりとあっさり目な感じだったが、響季姉妹のキャラにもっと特徴が強く出てくれば面白いシリーズになりそうな気がする。7点。
 

有栖川有栖「闇の喇叭」 2012年06月01日

闇の喇叭

 著:有栖川 有栖
講談社 単行本
2011/09/15

 本書は、はじめは理論社から、ヤングアダルト向けレーベル「ミステリーYA!」の一冊として上梓されたが、続編を書くにあたり事情があって講談社より再刊されたらしい。探偵ソラシリーズとして、すでに第2弾「真夜中の探偵」が上梓されており、第3弾「論理爆弾」も近日発売となるようだ。
 
 作者の作品は大半が『作家アリス』シリーズと『学生アリス』シリーズに代表される王道の本格ミステリで、「幽霊刑事」のようなちょっと変わり種というのもあるが、基本的には特殊なものはあまりない。そんな中で立ち上げられた一風変わった新しいシリーズがこの探偵ソラ(空閑純)シリーズである。ただし舞台立ては大いに異色だが、核となるのはやはり本格ミステリだ。
 
 パラレルワールドの日本が舞台。時代は平世(へいせい、平成ではない)22年。私的探偵行為を禁止する法律が成立した日本である。この世界では、召和(しょうわ、昭和ではない)に起こった第二次世界大戦の結果、日本は南北に分断され、北海道は<日ノ本共和国>として独立して互いに対立している。現実の世界と比べると、日本は保守的で抑圧的、全体主義的な危うい雰囲気をはらんでいるようで、徴兵制度も敷かれている。
 
 主人公の空閑純は探偵(もちろん公には秘密)の父とふたり暮らしの女子高校生。母親も優秀な探偵だったらしいが、現在は行方不明となっている。両親の才能を受け継いだソラにも探偵の素質が見え隠れするが、本作ではまだその能力はあまり発揮されていない。田舎町で立て続けに起こった事件、そして目撃された不審な人物。友人の母親が容疑者のひとりとなったことから、ソラは父親とともに禁じられた探偵行為を行うが。。
 
 まったく新しいシリーズ、未知の世界と言うことでか、舞台説明的な文章が多くて、物語としてはやや締まりが悪い。それに正直なところ、特殊な世界を舞台にした必然性がよく分からない。キャラもまだあまり魅力を発揮していない。主人公の空閑純はどちらかと言えば普通の女子高生である。でも、本書はあくまで、今後展開される壮大な物語のプロローグという位置づけなのだろう。これからどんなストーリーが繰り広げられることになるのだろう。6.5点。
 

貴志祐介「鍵のかかった部屋」 2012年05月26日

鍵のかかった部屋 (角川文庫)

 著:貴志 祐介
角川書店(角川グループパブリッシング) 文庫
2012/04/25

 防犯コンサルタント・榎本径と弁護士・青砥純子の密室ものシリーズ、第3弾。作者は次々と新機軸の面白いエンターテインメントを生み出しているが、こういうオーソドックスな本格ミステリもまた良い。このシリーズは現在本書と同じ『鍵のかかった部屋』のタイトルでテレビドラマ化されて放映中だ(未見)。主演は「嵐」の大野智で、自分はちょっとイメージが合わないのだが、どんな風に演じているのだろう。多少設定なども変えているらしいが。
 
「佇む男」山荘で、後継者を指名する遺書を残して死んだ企業経営者。白幕が張られるなど奇妙な舞台立てが施されていたが、現場は完全な密室。警察は自殺として処理したが…。精妙な物理&医学トリックが光る。7.5点。
「鍵のかかった部屋」窃盗の罪で5年間服役していた「サムターンの魔術師」と呼ばれた叔父が会いに来たその日、甥の少年が自室で死んだ。やはり密室だったため、警察は自殺と断定したのだが。理科教師の養父による科学応用トリックは見破れるか。7.5点。
「歪んだ箱」密室ものであると同時に倒叙形式になっていて、前半、欠陥住宅を売りつけられた男による犯行の一部始終が描かれる。ただし肝となる密室構成のトリックだけは隠されている。欠陥住宅であることを利用したトリックとは。7.5点。
「密室劇場」ある事件が一件落着して、当事者の劇団から公演に招待された榎本と純子。シュールで突飛な舞台が繰り広げられた後、再び事件が起こる。密室トリックはささやかだが、個性というかアクが強い劇団員による冗談みたいな雰囲気がちょっと異色で面白い。7点。
 
 前作まではどうだったかだいぶ忘れてしまったが、解説(杉江松恋)を読むと、本書でシリーズも三冊目に突入して、その間に登場人物たちのキャラも進化し、そして定着してきているようだ。純子の役回りは「切れ者の美女」からだんだんと間抜けな推理を提示する三枚目役に変貌してきているということだ。榎本と純子の掛け合いがシリーズのお約束になってきており、ちょっとユーモアミステリ的な雰囲気も漂って、これがけっこう面白かった。
 

東野圭吾「聖女の救済」 2012年05月18日

聖女の救済 (文春文庫)

 著:東野 圭吾
文藝春秋 文庫
2012/04/10

 探偵ガリレオシリーズで、2008年に短編集「ガリレオの苦悩」と一緒に、2冊同時刊行された長編作品。なかなか読めずにいたが、とうとう文庫化されたところでようやく読んだ。
 
 長編と言うことで、人間ドラマ部分が濃厚だ。いや、短編でもそれぞれしっかりと描かれていたが、さらにしっかりと、この作品の軸のひとつとして描かれている。草薙刑事が美しく聡明な容疑者にほのかな好意を寄せるのだが、こういうジレンマを抱えた影のある人間模様からは、シリーズの代表作「容疑者Xの献身」を思い出す。
 
 ガリレオシリーズの肝である理科系トリックも秀逸だ。殺人に使われたトリックは、理論的には考えられるが現実的にはあり得ない「虚数解」だというのだが…、初めはこの湯川の発言の意味が理解できなかった。数学の問題ならともかく、実際に行われた犯罪のトリックが「虚数解」とは一体どういうことなのか?SFでもあればともかく、物理的に不可能なトリックでは物語にならない。謎解きを読むと、「虚数解」というのはややオーバーな表現とも思えたが、確かに、にわかには信じがたい、非常に気が長くて現実にやり通すのがたいへん困難なトリックとなっていた。
 
 証拠固めに大型放射光施設であるスプリング8を使ったりと、科学ミステリらしい肉付けがされていた。また、女性刑事(内海薫)が湯川の発した言葉の意味を考えながら iPod で聴いていた音楽が、福山雅治(実写化された湯川!)のアルバムだったりという遊び心もあってにやりとさせられた。しかし何より、数々の伏線を配置し、それらパズルのピースが終盤にキッチリと組み合わさっていくという巧みで揺るぎのない構成が見事な作品だった。7.5点。
 

伊坂幸太郎「PK」 2012年05月12日

PK

 著:伊坂 幸太郎
講談社 単行本
2012/03/08

 本に付いた惹句は『「PK」「超人」「密使」からなる"未来三部作"。こだわりとたくらみに満ちた3つの中篇』となっている。実際には、ほとんど未来という感じではなかったが、SF的なところはあった。
 
 SFには、たとえばフィリップ・K・ディックなど、未来への展望と危惧を示しつつ、現代社会に潜む危険性を告発するような物語がよくある。伊坂幸太郎もこれまでそのような小説をよく書いてきた。もっとも作者の場合、警告の対象が必ずしもはっきりとせず、曖昧で得体の知れない存在として描くことが多いようだ。個人的にはもっと具体的、直截的に斬り込んでいっても良いと思うのだが。あるいは、作者はべつに社会への警告を描こうとしているのではなく、ただそういった物語のフォーマットを拝借してきているだけなのかもしれないが。
 
 最初の「PK」はまさにそんな作品だ。ワールドカップ予選突破をかけた大事なPKを蹴るサッカー選手のほか、作家や大臣といった、はじめは時間も場所もバラバラな人物とシーンをつなぎ合わせて、少しずつ収束させながら、「信念を貫く勇気」をテーマにした物語になっていた。2番目の「超人」は「PK」の中で喩え話として出てきた話をメインにしている。登場人物の大臣などは共通人物らしいのだが、「あれ?」というところも。これは第3話を読まないと「あれ?」のままだ。3番目の「密使」はかなりSF色が強くなっている。特殊な能力を持つ青年と、時間の分岐やパラレルワールドについての説明を受ける男のシーンが交互に描かれて行く。
 
 最後が特にSFなのは、SFアンソロジーに発表された作品だからだろう。最初の2作品は雑誌「群像」掲載作品だ。もともとは、それぞれ基本的に独立な作品だったようだが、単行本にまとめるに当たって、互いの繋がりを強調するように手を加えたらしい。結果としてその効果は抜群だ。初出時の詳細を知らないが、単独作品としてみると、「PK」は最後のまとめ方がもの足りなく感じるし、「超人」はだから何?という感じで終わってしまう。しかし「密使」を読むことで、すべての繋がりが明らかになり、様々な伏線と仕掛けが正体を現す。「たくらみに満ち」ていたのは、各話というより、全てまとめてだったか。というわけで、個別には不満もあったが、全体をひとつの作品としてとらえると、なかなか満足のいく一冊だった。7.5点。
 

柳広司「パラダイス・ロスト」 2012年05月08日

パラダイス・ロスト

 著:柳 広司
角川書店(角川グループパブリッシング) 単行本
2012/03/24

 作者の名を広く世に知らしめたスパイ・ミステリ『ジョーカー・ゲーム』シリーズの待望の第3弾。読者と敵を欺く、幾重にも張り巡らされた巧緻な謎と、D機関の異能のスパイたちの超人的でスマートな活躍ぶりは本書でも健在だった。
 
「誤算」任務地のフランスで記憶を失った'島野'。ナチス占領下のパリでレジスタンスたちの手当を受け、彼らの窮地に行動を共にすることになる。やがて蘇った記憶とともに、周到かつ巧妙な計画の全貌が明かされる。7.5点。
「失楽園」舞台はシンガポール。恋人が殺人容疑で拘束された米海軍士官の青年が事件の真相を探るが、実はその裏にD機関スパイの影があった。現実的には、こうはうまく行かないだろうと思うが、表に出ないD機関らしい手法が描かれる。7点。
「追跡」D機関の存在に気付いたイギリス人記者が、組織の創設者であり統括者である'魔王'こと結城中佐の出自に迫る。隠された事実を突き止めて、謎に包まれた結城の過去に肉薄したかに見えたが…。7.5点。
「暗号名ケルベロス(前篇・後篇)」太平洋上ハワイ沖を航行中の客船にて。終盤、ちょっとつながりが苦しい箇所もあるが、長めのストーリーで謎の連鎖が楽しめる。終わり方はニヒルなスパイのシリーズの中にあってちょっと意外なラスト。7.5点。
 
 

森絵都「ラン」 2012年04月27日

ラン

 著:森 絵都
理論社 単行本
2008/06/19

 こういうストーリーだったのか。とくに予備知識もなく手に取ったので、タイトルと、パラパラッとめくった目次を見て、普通の、爽やかなマラソンスポーツ小説、もしくは青春小説かと思っていた。以前読んだ「DIVE!!」の先入観もあったかもしれない。作者は2006年に『風に舞いあがるビニールシート』(未読)で第135回直木賞を受賞して、この作品が直木賞受賞後の第一作だ。
 
 出だしから「えっ?」という感じで始まり、さらにどんどんと、まったく予想していなかった方向に話が転がっていく。青春小説というのはまったくの見当外れではないし、マラソン小説という見方も出来なくはないが、主人公のマラソンに対するモチベーションは実に突拍子もなく、こんなの読む前に予測するのは不可能だ。設定の枠組み的にはファンタジーと言っても良いな。
 
 物語の最初の方から、性格の悪い典型的な"イヤな奴"が出てきたりもして、はじめは、読むのがちょっと辛いような物語になるのかと身構えた。しかし、シリアスな側面はありつつも、ところどころにはクスリと笑わせる笑いのポイントがあったりして和ませてくれる。そして最終的には、しみじみとした切なさが印象に残る物語となっていた。バラエティに富んだマラソンチームの面々の個性的な顔ぶれも良くて、イメージが自然に浮かんでくる感じだった。配役を工夫して映像化しても面白くできそうだ。7.5点。
 

小寺裕「和算書「算法少女」を読む」 2012年04月23日

和算書「算法少女」を読む (ちくま学芸文庫)

 著:小寺 裕
筑摩書房 文庫
2009/11/10

 本書は先日読んだ小説『算法少女』(遠藤寛子)と同じ「ちくま学芸文庫」からの出版で、小説で広く知られるようになった江戸期の和算書『算法少女』の解説本である。人からお借りして読んだ。
 
 小説の方は、謎も多い和算書『算法少女』の成り立ちについて、想像をめぐらして書かれた物語であったが、本書は和算書の内容自体に対する解説が主な内容となっている。原典は漢文と古文(和文)で書かれていて、到底そのままでは読みこなせない。そこで本書は丁寧な現代語訳を付けて、さらに現代数学の記法を使った解説を行っている。まあしかし、それでも中に出てくる各問題はかなり手強くて、それは当時の和算のレベルの高さを物語るものでもあるだろう。
 
 そんなわけで難解な本論はついつい流し読みしてしまったが、解説部分には他の和算書との関係など関連情報もあって、興味を引かれた。また最後に収録されている土倉保氏による研究者の立場からの解説も興味深かった。ただ、小説『算法少女』の読者にとってはやはり、ほんの8ページではあるが、小説出版の舞台裏などに触れた遠藤寛子氏のエッセイ「実録と虚構のはざまで」が本書の白眉となるのではないだろうか。
 

海堂尊「エナメルの証言」ほか(「このミステリーがすごい! 2012年版」収録) 2012年04月21日

このミステリーがすごい! 2012年版

 編集:このミステリーがすごい! 編集部
宝島社 単行本
2011/12/10

 高野和明「ジェノサイド」が国内編1位に輝いた2011年の『このミス』。今回は『このミス大賞』出身作家による書き下ろし短編が4作品収録された。昨年はお休みしていた人気随一の海堂尊が復活。海堂作品は40ページで、あとの第9回『このミス大賞』トリオの3作品はそれぞれ約10ページの長さだ。ちなみに、海堂作品は本書の収録作も含めて、これまでの『このミス』発表作(加納警視正と玉村警部補のシリーズ)をまとめた短編集『玉村警部補の災難』が2月に刊行された。
 
海堂尊「エナメルの証言」闇商売、裏社会の歯科医という新しいキャラが出てきた。謎解きミステリではないのだが、海堂ワールドの新しい展開で(広げすぎという感もあるが、それでも尚)なかなか面白かった。7.5点。
佐藤青南「YESか脳か」優秀賞『ある少女にまつわる殺人の告白』の人。行動心理学に天才的な能力を発揮する女性刑事が、取り調べでその力を見せる。これはシリーズになるのだろうか。シリーズで読むとより面白くなりそうだ。7点。
喜多喜久「クリスマス・テロ」優秀賞『ラブ・ケミストリー』の人。作りものの世界という印象を受ける、いかにもショートショートのネタ的なプロットと雰囲気の作品。6.5点。
乾緑郎「鷹野鍼灸院の事件簿」「バチスタ」以来の選考委員満場一致だったという大賞作品『完全なる首長竜の日』の人。見かけによらず鋭い観察眼と推理力を発揮する鷹野院長の活躍を、新人鍼灸師の真奈の目線から描く。7点。
 

東野圭吾「幻夜」 2012年04月20日

幻夜 (集英社文庫 (ひ15-7))

 著:東野 圭吾
集英社 文庫
2007/03/20

 単行本が出たのはもう8年も前、2004年の作品である(もとは2001年から2003年まで雑誌に連載)。刊行後数年経ってから読むことは珍しくないが、東野作品でここまで時間をおいたのは珍しい。とくに理由があったわけではないのだが。
 
 本作品は「白夜行」の姉妹編と言われる作品だ。ちなみに「白夜行」は2006年にTBSでドラマ化され、2011年には映画化もされた。本作も2010年にWOWOWで連続ドラマ化されている。
 
 阪神淡路大震災の混乱の中、水原雅也は成り行きとはずみで叔父を殺してしまい、その現場を近所に住む新海美冬に見られてしまった。しかし、雅也は美冬から今後の人生をともに切り拓くパートナーとして見込まれ、一緒に上京することになる。実はこのとき、美冬の胸には恐るべき野望とたくらみが秘められていた
 
 自分たちの利益と成功のためには、人を騙したり陥れたり、さらにはそれ以上のこともためらわない美冬と、良心の呵責を感じて平凡な幸せに憧れるが、すでに自分には手に入れられないものとあきらめてしまった雅也の物語が丹念に描かれて行く。そしてそこに、不審を抱くひとりの刑事が絡んでくる。なかなかの大作で、サスペンスとして優れた作品だ。しかしそれに比べると結末があまりにもあっさりで、しかもバッドエンドだった。うーん。7点。
 
 だが、巻末の解説(黒川博行)まで読んでみて、このラストもアリかなと思えた(依然として好みとは言えないが)。そうか。「白夜行」の姉妹編と言うのは伊達ではなかったのか。ストーリーは独立しているが、これはやはり「白夜行」の続編で、さらに三部作として次作が構想されているだろう(確定ではないが)物語なのだ。「白夜行」の内容をすっかり忘れていたが、そちらを思い出してから読んだ方が良かったか。いや、むしろまだ出ぬ第三作が出てから一気に読むのが良かったかもしれない。
 

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